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SOLD OUT
【Booklet+ダウンロードコード】
145mm×130mm 52ページ仕様
・シルクスクリーン印刷+スタンプ(表紙)
・リソグラフ印刷(本文)
・くるみ製本+手製本
清水恒輔と古くから親交の深い小田晶房(map/hand saw press Kyoto)との対話で始まるロング・インタビューとアルバム制作ノート、数々の記録写真からなるフォトブックです。リソグラフ(本文)とシルクスクリーン(表紙)を使って印刷、ひとつひとつ手製本された本作を地図として、音楽の旅をお楽しみください。
また、2025年1月にはヴァイナル(Disk Union)でのリリースを予定しておりますが、それらの音源に加え、Gak Satoによるリミックス"bonus track “April Portraits RMIX by Gak Sato" を含むダウンロード・コードを付属しています。こちらのダウンロードは、48/24 WAV etc.を用意した高音質バージョンとなっておりますので、ぜひ両方をお楽しみいただければうれしいです。
本作品は音楽(ダウンロード)と書籍からなる、かつてのカセットブックのようなアーティスト・ブック。個人的はかつての『MAP』〜『YO LA TENGO MAP』……と続いた雑誌『MAP』の最新号だと思っております。
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水蒸気の如く吹き上げられる穏やかで真摯な熱情と
丁寧に紡がれた軋みのレイヤー
具体音の底から届けられる一筋の旋律が
ただただ美しく、儚く響く
京都の街から世界に向けて、耽美かつ美しき世界観で彩るmama!milkでの活動を礎に、数多くのセッションワークでの活動でも知られるコントラバス奏者、清水恒輔。確かなテクニックに裏打ちされたそのスタイリッシュなセンスは、長きの時間、音に辛辣な音楽ファンの耳を丁寧に潤してきました。そんな氏の初のソロ・アルバムとなる本作は、ベース奏者としての技術を見せつけるようなものでは決してなく、コンポーザー/サウンドクリエイターとしての才がくっきりと浮き彫りとなった、架空のサウンドトラックのごとき作品に仕上がっています。
「ソロ・アルバムを作るなんて、ほとんど考えていなかった」と清水は語ります。しかし、2009年に初演されたmama! milkと阿部海太郎による「メトロポリス伴奏付上映会」に端を発し、ソロ・アルバムへの道筋が生まれました。当初即興演奏を前提として企画された同公演ですが、彼らはあえてしっかりと作り込んだ楽曲として制作することを決定、本作収録の「Metropolis Rhapsodie」の元曲はその場所において制作されたものです。この上映会が再演/再々演される中で、この楽曲の強度を確信した生駒の勧めもあって、世界観をより自由闊達に広げる形で、2018年ごろからmama!milkやさまざまなセッションの合間を縫って、リリースの予定があるわけもなく徒然にレコーディングは始まったのです。
時に金沢の倉庫のごとき謎空間で、奈良の優れた音響アトリエで、地元京都のギャラリーで、ウズベキスタンはタシュケントの機関区で、友人でもある音楽家の自宅で……レコーダーを片手にいつ完成するかもどうやって形にするかも考えぬまま、気のおけない音楽家たちとのセッション/演奏を記録し続けて約5年、コロナの期間も相まって、京都の自宅においてさまざまな具体音の音塊を加えて解体/編集を延々と続け、清水ならではのスパイスを投入しながら煮詰め続けたのが、この組み細工のような音楽です。
具体音や機械ノイズを巧みに引用する様も含め、ある種ピエール・バスティアンのようであり、パスカル・コムラードのようなガジェットでキッチュな愛らしさもあり、レイモンド・スコットの器楽曲のように緻密なダイナミズムを持つ楽曲もこのアルバムには収録されています。もちろんmama! milkの世界観に通じる幽玄かつたおやかな世界もあれば、若き日の清水の根っこに潜むレ・ネグレスト・ヴェルトやヴァイオレント・ファムズにも通じるパンキッシュな世界観まで。加え、リリカルなピアノとやコントラバスとのデュオ等の小品も美しく響きます。
饒舌かつ洗練のようにみせかけて、不器用かつ混沌と軋みを感じさせる音楽。これはノスタルジックじゃなく、光ある未来へのサウンドトラックのようなもの、かもしれません。